「かわうそ お江戸恋語り。」あさのあつこ著
太物問屋「あたご屋」の一人娘・お八重は、外出からの帰り道、ごろつきに絡まれていたところを通りかかりの男に助けられる。以来、「川獺」と名乗ったその男が忘れられず、17歳のお八重は自分が恋をしたのだと気づく。女中のおちかは、心ここにあらずのお八重を心配する。川獺のことを打ち明けられたおちかは、彼を探して町をさまようお八重に付き添う。 そんなある日、一人で町に出かけたお八重は川獺をついに見つける。だが、彼は美しい女を同伴していた。数日後、叔母から縁談が持ち込まれたお八重は、自らの思いを断ち切ろうと、一人で川獺が住む長屋を訪ねる。そこにはあの女の死体が転がっていた。
一途な少女の恋と成長を描く青春時代小説。(祥伝社 690円+税)