「戦争の大問題」丹羽宇一郎著
日本が戦争に巻き込まれる可能性は低くない。現状維持しようとする覇権国に対し、新興国が現状変更を強行することが戦争を引き起こす原因になることを「ツキジデスの罠」というが、新興国・中国の現状変更が続けば米中戦争が起こる可能性がある。第2次大戦の時、1941年に陸海軍や官庁、民間のエリートが、資源不足と生産力不足のため日本は負けると予測したのに、東条英機はその報告を握りつぶした。当時の戦争指導者は、勝てる見込みがあれば設定するはずの到着点を設定せず、戦争に走ったのだ。
民間出身で初の中国大使を務めた国際ビジネスマンが、元防衛大臣、軍事ジャーナリストらの話に基づいてまとめた戦争論。
(東洋経済新報社 1500円+税)