「オウム真理教 偽りの救済」瀬口晴義著
著者は、自分と同年生まれの地下鉄サリン事件の実行犯、広瀬健一が早稲田大学入学時に大隈重信像の前で撮った記念写真を見て、時間をこの時まで巻き戻せないのかと思った。歯車が狂ったら、自分も彼のようになっていたかもしれないと。
麻原彰晃の運転手だった杉本繁郎は、麻原は信者たちの「欲望の象徴」だったと言った。彼らは欲望を滅することを目指したのに、麻原に帰依して「超能力者」や「解脱者」になろうとしたり、威力の大きい毒ガスをつくろうとしたりして、欲望はむしろエスカレートしていったのだ。
新聞記者としてオウム真理教事件を取材、死刑囚らと面会し、400通もの手紙を交わした著者が、あの事件の事実を探る。
(集英社 1600円+税)