「椿井文書」馬部隆弘著

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 歴史学の基本は、古文書学に基づいて偽文書を排除し、真正な古文書から過去を復元していくこと。この作業の積み重ねで、現代においては偽文書はほぼ壊滅状態にあると多くの歴史学者は思っていた。しかし、今世紀に入ってもなお、多数の研究者が使用している偽文書があるという。それが「椿井(つばい)文書」と呼ばれる一連の古文書で、なんとその数は数百点にも及ぶ。

 文書は、山城国相楽郡椿井村(京都府木津川市)出身の椿井政隆(1770~1837年)なる人物が依頼者の求めに応じて偽作したもの。

 この日本最大級の偽文書がどのように作られ、流布したのか。本書は、その実態を解説し、文書が引き起こした問題やそこから見えてきた歴史学の課題について言及する歴史テキスト。

(中央公論新社 900円+税)

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