「それでも、陽は昇る」真山仁著

公開日: 更新日:

 小学校教師の小野寺徹平は、阪神・淡路大震災で妻と子を失い、半ばヤケで、2011年、東日本大震災で被災した東北の小学校に応援教師として出向した。やがて神戸に戻り、阪神・淡路大震災を語り継ぐNPO法人「震災伝承プロジェクト」のボランティア活動を始める。あるとき、神戸の私立の名門高校に「特別授業」のため出向いた。

 ところが、予習をしたという生徒が、「地震のタイプも被害の規模や被災地の経済力なども異なるため、神戸での経験を押しつけないほうがいいのでは」という。

 ――ちゃうねん、災害は数字の差とちゃうねん。

 その違和感を小野寺は伝えられない。

 復興のために何をすべきか、被災者としての「使命」を模索する男を描く。

(祥伝社 1500円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    大谷翔平を激怒させたフジテレビと日本テレビ…もっと問題なのは、情けない関係修復の仕方だ

    大谷翔平を激怒させたフジテレビと日本テレビ…もっと問題なのは、情けない関係修復の仕方だ

  2. 2
    悠仁さま「東大合格」の逆風になりかねない宮内庁“3年前の痛恨ミス”…トンボ論文の信頼性に影響も

    悠仁さま「東大合格」の逆風になりかねない宮内庁“3年前の痛恨ミス”…トンボ論文の信頼性に影響も

  3. 3
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  4. 4
    「今市事件」服役中の勝又拓哉受刑者「『有希ちゃんを殺してごめんなさい』って50回言わされた」

    「今市事件」服役中の勝又拓哉受刑者「『有希ちゃんを殺してごめんなさい』って50回言わされた」

  5. 5
    ロッテ佐々木朗希 日本では「虚弱体質」の烙印も…米球団むしろプラス評価でゾッコンの理由

    ロッテ佐々木朗希 日本では「虚弱体質」の烙印も…米球団むしろプラス評価でゾッコンの理由

  1. 6
    なぜ大谷はオールスターで「最多得票」を取れないのか…圧倒的成績を残しながら首位と26万票の大差

    なぜ大谷はオールスターで「最多得票」を取れないのか…圧倒的成績を残しながら首位と26万票の大差

  2. 7
    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  3. 8
    杉咲花&若葉竜也「親密報道」後も評価上昇 「アンメット」の演技にはゴシップを超える力がある

    杉咲花&若葉竜也「親密報道」後も評価上昇 「アンメット」の演技にはゴシップを超える力がある

  4. 9
    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

  5. 10
    まるで大使館…剛力彩芽&前澤社長の“100億円豪邸”を発見

    まるで大使館…剛力彩芽&前澤社長の“100億円豪邸”を発見