「『現代優生学』の脅威」池田清彦著

公開日: 更新日:

 高度な社会の実現を目的に「優秀な人間の血統のみを次世代に継承し、劣った者たちの血筋は断絶させるか、もしくは有益な人間になるよう改良する」――こうした「優生学」の研究に強く影響されたナチスは、障害者の「断種」やユダヤ人の大量殺戮(さつりく)を決行。戦後、その反省から優生学の研究はタブーとなった。

 しかし、中絶を助長する出生前診断や重度障害者や終末期の高齢者への支出削減の動きなど、近年、優生学的な傾向を持つ考えが多方面で顕著になりつつある。こうした潮流は、旧来の優生学から離れ、「生産性のない人間を直接淘汰する」という過激な方向へ向かいつつある。

 優生学の歴史を振り返り、コロナ禍で一層顕著になりつつあるこうした「現代優生学」の危険性を説く警世の書。

(集英社インターナショナル 902円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 2

    野呂佳代が出るドラマに《ハズレなし》?「エンジェルフライト」古沢良太脚本は“家康”より“アネゴ”がハマる

  3. 3

    岡田有希子さん衝撃の死から38年…所属事務所社長が語っていた「日記風ノートに刻まれた真相」

  4. 4

    「アンメット」のせいで医療ドラマを見る目が厳しい? 二宮和也「ブラックペアン2」も《期待外れ》の声が…

  5. 5

    ロッテ佐々木朗希にまさかの「重症説」…抹消から1カ月音沙汰ナシで飛び交うさまざまな声

  1. 6

    【特別対談】南野陽子×松尾潔(3)亡き岡田有希子との思い出、「秋からも、そばにいて」制作秘話

  2. 7

    「鬼」と化しも憎まれない 村井美樹の生真面目なひたむきさ

  3. 8

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  4. 9

    竹内涼真の“元カノ”が本格復帰 2人をつなぐ大物Pの存在が

  5. 10

    松本若菜「西園寺さん」既視感満載でも好評なワケ “フジ月9”目黒蓮と松村北斗《旧ジャニがパパ役》対決の行方