「ドストエフスキー黒い言葉」亀山郁夫著

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 文豪の作品や書簡から、現代を生きる私たちにふさわしい言葉を抜き出し、解説してくれる文学案内。不吉なイメージがつきまとう黒はロシアにおいては「豊穣の証し」だという。

 最晩年こそ家庭的にも金銭的にも幸福の頂点にあったドストエフスキーだが、彼ほどリアルに金の問題に煩わされ続けたロシア人作家もいないという。「金とはいわば鋳造された自由である」(「死の家の記録」)、「貧は悪徳ならず、(中略)洗うがごとき赤貧となるとこれは犯罪なのです」(「罪と罰」)などの言葉を取り上げ、金や負債との闘争から生まれた作品の背景を解説。

 その他、サディズムやマゾヒズム、神の存在など。コレラ蔓延も体験し、もっとも根本的な部分における人間らしさを追求した文豪の言葉に現代を生きるヒントを学ぶ。

(集英社 1122円)

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