第一話 倫理的にあり得ない(37)ドアに向かって毒づく
涼子の耳に、ぎりっという音が聞こえたような気がした。それほど強く、香奈江は奥歯を噛みしめた。涼子を睨みつけ、声を震わせる。
「最後にひとつだけ伝えたいことって、なに?」
涼子は香奈江の目を、まっすぐ見つめた。
「安生さんは、直人くんが自分の子供ではないと知っ…
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