チャットGPT
「先読み!ChatGPT」古川渉一、酒井麻里子著
公開されるとたちまち大反響を呼んだチャットGPT。人工知能(AI)がここまで進化した驚異を見よう。
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「先読み!ChatGPT」古川渉一、酒井麻里子著
チャットGPT関連の本は怒涛のごとく出ているが、内容は実際にチャットGPTと対話しましたという趣向のものが多い。しかしこれが案外つまらない。企画した側が対話型AIとのやりとりを楽しんでいても、読者にそれが伝わらないのだ。
その点、本書はチャットGPTをイロハから解説したうえで実際の対話も紹介する。解説は著者2人の対話によるものだから読みやすい。チャットGPTが登場するまでにどんな流れがあったのか、読者が自分で使うにはどう登録したらいいのかなど“いまさら聞けない”問いをていねいに解説しているのもうれしい。
チャットGPTとの対話では「私はAIについては初心者なんですが、深層学習モデルについてわかりやすく教えてください」という問答のあとで「専門用語が多くてわかりません。小学生でもわかるように」と注文をつける。すると確かにわかりやすい回答をしてくるのだ。そんな回答のクオリティーを評価するフォローも適切。「濃い内容がサクッと読める」という版元の惹句は看板にいつわりなし。
(インプレス 1540円)
「AIが『答えの出ない問題』に答えてみた。」Catchy著 伊藤新之介、成田修造監修
「AIが『答えの出ない問題』に答えてみた。」Catchy著 伊藤新之介、成田修造監修
昨年10月、オープンAI社は「GPT-3」による疑似人格の生成の禁止などの制約を解除した。さらに11月、同社が発表したのがチャットGPTだ。そこで早速発案されたのが本書。
たとえば彗星のごとく現れた救国の英雄ナポレオンの疑似人格に、現代の起業家支援について答えてもらう。アインシュタインに環境大臣を務めてもらい、国際間のパワーバランスを実践したエリザベス1世に外務大臣になってもらうなど。面白いのは、焚書坑儒で悪名高い秦の始皇帝を法務大臣にしてネット規制の是非を聞いた問い。自分は表現の自由が「公の秩序に及ぼす潜在的な影響について懸念」していたが、「このような強引なやり方は、当時はソーシャルメディアが存在しなかったからこそできたことです」。お見事な優等生回答だが、笑えるところはご愛嬌。
(クロスメディア・パブリッシング 1848円)
「AIが書いた AIについての本」AI著ジェームズ・スキナー監修
「AIが書いた AIについての本」AI著ジェームズ・スキナー監修
AIと直接対話する実践本は日本だけじゃない。本書は日本の出版社が企画し、アメリカのコンサルタントに監修を依頼したという。
著者(つまりAI)は「AIが書いたAIについての本」は人間の著者が書いたものよりいい、と言い切る。理由は人間では考えつかない「多くのインサイトや理解を提供」し、「より客観的でバイアスのない形で材料を提供」でき、「この分野を神秘的なものから、理解しやすいものに変え」ることができるから。つまりAIは人間より優れている、というわけだ。
本書の特徴は本文の中身だけでなく、表紙デザインからレイアウト、目次まですべてAIがやった点。ただし、その成果が読みやすいかどうかは別。斜めにレイアウトされた目次ページがどことなくやぼったいと感じる読者もあろうし、ゴシック体まじりの文章はこの手のハウツー本に適した速読がしにくいと感じる向きもあるだろう。
なお、監修者は日本企業の勤務経験も持つ元エンジニアにして外交官の経歴もあるヘッジファンドの会長だそうだが、帯の写真はプライベートジェットを背に派手なプリントのシャツのアヤしいおじさんだ。
(フローラル出版 968円)