(38)オレらは蕎麦でもたぐるか
蔦重は吉原細見の表紙をやさしく撫でた。
「私が見違えるような冊子に仕立ててやるよ」
鱗形屋みたいな本屋に開板(出版)されているこの小冊子が不憫でならない。
蔦重は花魁小紫と交わした言葉を思い出す。
「なして重さんは細見に眼の色を変えなんすか?」
…
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