「あなたの代わりに読みました」斎藤美奈子著
「あなたの代わりに読みました」斎藤美奈子著
菅直人の「東電福島原発事故 総理大臣として考えたこと」(幻冬舎新書)は、原発事故が起きた3月11日から18日までの動きを記録した手記である。当時、「官邸の過剰な介入」と批判されたが、その介入がなかったら原発全基が制御不能となり、5000万人が避難を迫られるという最悪のシナリオになったかもしれない。
松田青子の「持続可能な魂の利用」(中公文庫)は男性社会を断罪した長編小説だ。カナダから帰国した女性が、空港で「うつむき加減」の女の子の一団に出会い、日本の社会は「おじさん」が決めた世界であると感じる。
文芸評論家が「いま起きていること」を知るための同時代の本を紹介する。
(朝日新聞出版 1980円)