「戦争ミュージアム」梯久美子著

公開日: 更新日:

「戦争ミュージアム」梯久美子著

 各地の「戦争を伝える、平和のための資料館や美術館」を訪ね歩くルポ。

 広島県の「大久野島毒ガス資料館」は、世界で唯一の毒ガスに特化した施設。資料館がある大久野島で陸軍が毒ガス工場を稼働させたのは1929年。毒ガスの製造は軍事機密で、当時の地図には島は載っておらず、その存在は隠され続けてきた。敗戦まで6600トン以上の毒ガスが製造され、現在も日本は中国各地に残してきた毒ガスの処理費用を負担している。

 資料館とその周囲に広がる多くの遺構を巡りながら、毒ガスを含む化学兵器が用いられている現代の戦争に思いをはせる。

 以後、特攻隊員を多く輩出した予科練の記録を残す茨城県の「予科練平和記念館」など、14施設を巡り、展示された「もの」たちがかたりかけてくる声に耳を澄ます。 (岩波書店 1012円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神岡田監督の気になる進退 来季続投がスジだが…単純にそうはいかない複雑事情

  2. 2

    これも防災対策のひとつ? 「ソーラー充電器」は買っても秘密にしておけ

  3. 3

    加橋かつみさんが憧れたストーンズ「サティスファクション」はザ・タイガースの原点でもある

  4. 4

    TOBE人材難とNumber_i全米成功に疑問符…なぜジャニー喜多川氏の性加害が足かせなのか

  5. 5

    週刊誌2誌で評価は真っ二つ…悠仁さまがそれでも「東大に合格」できる仕組み

  1. 6

    Number_iに囁かれるキンプリ遺産の食い潰し…サマソニで持ち歌少なくデビュー曲を2回披露

  2. 7

    高野連を直撃「甲子園でリクエスト制度なぜ導入されず?」

  3. 8

    巨人・菅野智之の忸怩たる思いは晴れぬまま…復活した先にある「2年後の野望」 

  4. 9

    「ブラックモンブラン」竹下製菓が最大の危機に…事業拡大の矢先、右腕の夫と会長の父に先立たれ

  5. 10

    阪神岡田監督の去就を左右する親会社、後継者事情、健康問題、糟糠の妻・陽子夫人