水谷豊とは私的に会話なし…六角精児が明かす「相棒」舞台裏
主演・水谷豊(61)との絡みは、ドラマの大きな見どころのひとつ。水谷とは昼食をごちそうになることがある程度で、会話はほぼ現場オンリー。
「子供の頃、テレビの前で見ていた『傷だらけの天使』(74年)の亨(あきら)を演じていた方との共演です。こちらから一線を引きます。引かなければならないんです、そこは。あれだけの台詞(せりふ)と芝居量を涼しい顔でこなす俳優は、豊さん以外、周りにいない。とにかく圧倒的な存在です。台詞は台本に忠実でアドリブはほとんどなし。でも、長年やってきた空気感や独特の間合いを言葉にする時はある。杉下警部でいえば『どうもありがとう』、僕は『ふむふむ』とか。撮影現場はいつもいい緊張感があり、現場の正しいあり方だと身が引き締まります」
無類の酒好き。捜査1課のメンバーと夜の街に繰り出すこともしばしばだが……。
「最近思うんですが、飲みに行っても話をするだけなら、30分もあれば十分なんですよね。5時間も6時間もダラダラと飲みながら、本当に意味のない話をしてる。でも、俳優や下北沢の仲間とバカ話をしてダラダラと飲んでいる無駄な時間ほど楽しいものはない。人間の生活なんかムダでできてますから。ムダの使い方って人それぞれですが、結構、大きい。僕のムダはあえていわせていただきますが、ギャンブル、パチンコ、酒。でも、大事ですから」
▽ろっかく・せいじ 1962年兵庫生まれ。神奈川・厚木高校時代の演劇部員と劇団「善人会議」(のちに「劇団扉座」に改名)を結成し、現在も所属。学習院大中退。近著はエッセー集「少し金を貸してくれないか 続・三角でもなく四角でもなく」(講談社)。