貫禄の刑事ドラマ「相棒」 なぜ視聴者に飽きられない?
これが定番の強みというやつか。「相棒」(テレビ朝日、水曜21時~)の新シリーズが好スタートを切った。2時間スペシャルだった初回の平均視聴率は19.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。右京ファンの視聴者を茶の間にクギ付けにした格好だ。
“40%男”の堺雅人が主演の「リーガルハイ」(フジ、水曜22時~)でさえ、2話目は16.8%に落としている。それだけに20%近くを叩き出したのは立派だが、いったいなぜ、これほど支持されるのか。
上智大教授の碓井広義氏(メディア論)が言う。
「相棒は、ひとつのシリーズが終わっても、放送自体は終わりません。再放送をやっているからです。そうやって常にエンジンを温めているから、新シリーズが始まったときに、ポーンと高い数字が出るのでしょう」
期待を裏切らないパターン化された作りも、人気につながっているという。
「制作している東映のテレビ映画の魅力でもありますが、主人公の杉下右京は、回り道をしながらも持てる能力を使って真相に迫り、事件を解決します。奇をてらわずに、刑事ドラマの王道を歩んでいる。それが60代以上の視聴者に受け入れられる秘けつでしょう。老舗の和菓子屋さんのような感じです。飽きずにやり続けることで、同じ味を作り続けている。その中心がピンク映画出身の和泉聖治監督。シリーズの初回は必ず担当しているし、脚本も輿水泰弘氏が多い。このコンビが変わらないテイストを生み出しているのです」(碓井氏)
夕方の再放送でさえ、10%超の視聴率を叩き出すオバケ番組。放送時間に合わせて、ゲートボール場から引き揚げる高齢者は少なくないという。しばらくは水曜の夜も出歩けなくなりそうだ。