コークハイで…草野仁を猛ダッシュさせた鶴岡一人の“歓迎会”
■酒豪ぞろいの赴任先
問題はNHKに就職してから。最初の赴任地が鹿児島で、その歓迎会が凄かった。並み居る先輩方が次から次へと焼酎をもって「飲め、飲め」と。断るわけにはいかないから、飲みましたよ。でも、宿に帰った途端に戻してしまい、翌日も二日酔いで頭がガンガン。事情を話して、その後はほどほどにしてもらいました。
次の赴任地がこれまた九州の福岡放送局。ここでも歓迎会の洗礼を受けました。九州は「酒の飲めないヤツは男じゃない」みたいな土地柄ですからね。
そこへいくと、その次の赴任地・大阪はまだ安心でした。ただ一度だけ、野球解説者の鶴岡一人さんからとても温かい“歓迎”を受けました。プロ野球の実況を私が、解説を鶴岡さんが担当するという前日に「草野君、行きつけの店があるから、そこで打ち合わせをしよう」とお誘いをいただいたんです。もちろん、鶴岡さんは私が飲めないことを知らない。互いに打ち解けていた方が翌日の放送もウマくいくという鶴岡さんなりの心遣いでした。
で、お店に着くと、まずコークハイが3杯並んでいた。それを見た鶴岡さん、上機嫌で「これ飲まなんだら、明日モノ言わへんで」ときた。せっかくのご厚意ですから必死で飲みました。ただ、直後にトイレに猛ダッシュ。平静を装って席に戻ると、鶴岡さんはまだ陽気に「NHKは飲まな出世しまへんで」なんて言っていました。すると、私の一部始終を見ていたお店のママさんが鶴岡さんに何やら耳打ちしていた。きっと「さっき戻してたから、無理強いしちゃダメよ」って助け船を出してくれたんでしょう。以後は大丈夫になりました。