原作ファンから非難の嵐 新「デスノート」期待外れの要因
しかし、長年の原作ファンだという映画批評家の前田有一氏が、気になるその出来栄えをこう語る。
「原作では夜神月という図抜けた天才がデスノートを拾いますが、こちらの想像を超える使い方をして、たった一冊のノートで世の中を変えてしまう背徳的な面白さがあった。それを阻止するLとの天才対決も二転三転の工夫が凝らされていました。しかし今回のこの映画版では、犯人側にも警察側にも知性や知略が感じられない。キラ登場から10年も経つんだからもっと対策くらいしておけよと100回くらい突っ込みたくなる。『デスノート』にファンが求める高度な知能戦が味わえないんです」
実はネットでも、試写会を見たファンの投稿は原作のコアなファンほど期待外れという声が多い。
「完結した原作に続編を作るなら、オリジナル以上のシナリオをひねり出すのは作品を愛するファンへの最低限の礼儀なのに、この映画版はそのシナリオ面が一番弱い。観客の予想を超える攻防戦を見せてこそわざわざオリジナル続編を作る意義があるし、それを見せてこそ原作超えのエンタテイメントができるというもの。そもそも夜神月以上の戦術と主人公が思いつかないなら、映画化なんてやめたほうがよかった」(前出=前田氏)
とっくに完結した原作漫画の人気に頼って、いつまでも「柳の下のドジョウ」を探しているようではファンを敵に回すことになる。