伊集院静氏語る「困難に立ち向かう姿にこそ真理がある」
本の売り上げが伸び始めたのは女性読者が増えたからです。まさか私の本の表紙でピンク色を使うことはありえないと思っていたけど(笑い)、これも女性読者が増えた理由のひとつでしょう。その女性たちは週刊現代(の連載)では読んでないからね。だからこの「さよならの力」というタイトルが受け入れられたのだと思います。普通の女性は薬がどうしたとか死ぬまでセックスとか裸の写真が載っている週刊誌は絶対読まないから(笑い)。
私が世のサラリーマンに言いたいのは転勤、左遷、親会社の変更、終身雇用の崩壊とかいろんな“さよなら”があるだろうけど、そこで踏ん張るしかない。踏ん張らなければ光は見えないということです。姿勢を正しくして、アイツは眺めがいいなという人になれ。眺めとは何か。これはヤセ我慢。我慢をするしかないんです。違っていることに対して違うと言える人間になれということ。そして目の前にあるものをすぐに取りに行くなということ。先にあるものは何かを見る目を養うことが大事です。東芝にはそれが見えなかった。原子力開発は永遠だと思ったのでしょう。会社のトップが間違えるとああいう悲劇を生むことになる。