歌舞伎界きってのモテ男 中村七之助が追う勘三郎の背中
「やはり勘三郎さんが57歳の若さで亡くなったというのは大きいかも知れませんね。名跡の重み、受け継いでいかなければならない伝統への自覚が七之助さん、勘九郎さんご兄弟ともにあり、責務を十全に果たそうとされているのでしょう。歌舞伎はレベルが違うという話を聞いたことがあります。それは玉三郎さんのエピソードでしたが、かつて別の舞台にご出演されたとき、他の役者さんと並んで談笑し、ただ歩くという場面だけで、ずぬけてしまう。他の役者さんが駄目というのではなく、そのくらい歌舞伎の芸の鍛え上げ方が凄いというのです。七之助さんも、レベルの違いをご自身でも感じるようになり、楽しくなっているように見えます。息抜きやプライベートはあっても、芸が一番と思って追求されているのが今の姿だと思います」
一方で、こんな見方もささやかれている。
「かつて『歌舞伎は治外法権』という言い方があった。名跡を継ぐ才能と外見に恵まれた跡継ぎを得るためなら、それこそ隠し子や養子をとってでも、という考えです。『女遊びも芸の肥やし』と言われたのも、それと全く無関係というわけじゃない。今はもちろん、そんな考えはない分、名跡を受け継ぐ子どもたちへの期待度は高くなり、子どもたちもそのあたりのことを大人になるにつれて理解していく。勘三郎の兄弟もそう理解しているに違いない」(マスコミ関係者)
華やかな舞台、最近は海外観光客も多い歌舞伎で、看板を背負う今の若手たちはモテるのは当たり前、芸も一流でなければ、と思っているのは間違いないはず。ただ、求められているのはそれ以上なのである。