二代目白鸚襲名へ 松本幸四郎が「大石最後の一日」を熱演

公開日: 更新日:

 幸四郎にとっても今月が、この名では最後の歌舞伎座だ。それを意識しているのだろう。幸四郎が選んだ演目は「大石最後の一日」。忠臣蔵の大石内蔵助が討ち入りを果たし、切腹する当日を描いたドラマで、父の代からの幸四郎家の当たり役だ。染五郎の長男の金太郎(来年から染五郎)も出演し、歌舞伎座の舞台に父子三代が揃った。

「名作を名優の名演で」というのが歌舞伎座の顔見世のコンセプトで、なるほど、その演技に「感心」はする。だが、面白いかというと、古すぎて、登場人物にも物語にも共鳴できない演目が多い。そのなかでは、昭和に書かれた「大石最後の一日」(作・真山青果)がドラマとして見ごたえがある。

 必死に「死のう」としている女性を必死に務める中村児太郎の演技が役と重なり、リアル。幸四郎の、「幸四郎最後の一日」への思いも、異常なテンションとなっているのだろう。本当の「最後の一日」は千秋楽の25日である。 
(作家・中川右介)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議

  2. 2

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 3

    吉川ひなのだけじゃない! カネ、洗脳…芸能界“毒親”伝説

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    木村拓哉"失言3連発"で「地上波から消滅」危機…スポンサーがヒヤヒヤする危なっかしい言動

  3. 8

    Rソックス3A上沢直之に巨人が食いつく…本人はメジャー挑戦続行を明言せず

  4. 9

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 10

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末