余命ゼロ宣告で錯乱 小西博之さんを救ったビールのミニ缶
■ソファを引き裂き、本も食器もひっくり返すほど荒れた
でも、25日の診察後の方がショックは大きかった。というのは、2000年に突発性難聴を発症した以外、病気らしい病気をしたことがなく、「がんかもしれない」と思った途端、気持ちが錯乱。どうやって事務所に帰ったのかすら覚えてないくらいだったんです。
街には華やかなイルミネーションと笑顔が満ちあふれていたその晩、自宅で荒れに荒れました。ワンワン泣きながらソファを引き裂いて、中のクッション材をまき散らし、本棚の本は手当たり次第に投げ捨てて破り、台所の食器も片っ端から叩き割る。ひとしきり大暴れして風呂に入ってまた泣いて。どれだけ泣いても声は外に漏れませんからね。
そして、風呂から上がり、たまたま冷蔵庫を開けたら目についたのが缶ビール。135ミリリットルのコップ1杯分のミニ缶でした。実は普段はお酒は飲まないんです。勧められたら1杯ぐらいは付き合うけど、自分から飲もうとは思わない。だから多分、お歳暮か何かでいただいたものでしょう。でも、その時は不思議と飲みたくなったんです。それをグイッと空け、ファーッと体中にアルコールが回ったら、何か肩の荷が下りたような楽な気持ちになり、そのまま眠ることができたんです。