「沈むフランシス」松家仁之著
「沈むフランシス」松家仁之著
35歳の桂子は、男と別れ、仕事も辞め、北海道の人口約800人の安地内村に移住。非正規の郵便配達員として働き始めて半年が経ったある日、村はずれに住む和彦の家に小包を届けた桂子は、突然、彼から音楽は好きかとたずねられる。彼は音をちゃんと聴くためにここでフランシスと暮らしているようなものだというが、何のことかさっぱりわからない。
誘われるまま、休日に和彦の家を訪ねた桂子は、火山の音や蒸気機関車の音など彼が世界中から集めた音を聴かされる。その音は臨場感に満ち、いつまでも聴いていたくなる音だった。しかし、肝心のフランシスについて聞きそびれ、翌週、再び家を訪ねると、和彦は何も言わず桂子を寝室に導く。
北海道の小さな村で出会った男女の大人の恋を描く長編小説。 (新潮社 605円)