過去に戻れても…「おニャン子はやりません。違う人生を」
探し物を求めて2階に上がって、何を取りにきたのか忘れたり、買い物メモを手にしたつもりで出掛けた商店街で、メモを忘れたことに気がつく。身も心も素直に年を重ねている。そして、ある日突然、母の介護がやってきた。
要介護4から5年、母の頑張りで要介護3となり、ちょっとは慣れたし落ち着いたけれど、ゆっくりと近づく認知症とともに、最期の足音が聞こえている。この介護での経験や気づきを全国で講演している。決して人ごとではないと伝えたい。
人生は夢見たものとはちょっと違う。子供に恵まれなかったけれど、良妻にはなれたかもしれない。若い頃のようなハリツヤのない肌や髪も、自分らしく生きてきたからこそ。いつしか愛犬も8歳と9歳。人間だと、私たち夫婦と同年代だ。
この先10年以内に温泉のある家で暮らしたいと、一昨年、熱海に中古の別荘を買った。亡き父は大工だった。そのDNAを受け継いだ私の嫁入り道具のひとつ、工具セットを使って旦那と義兄と3人で汗水垂らし、1年かけてスケルトンにした。春から壁や床を張る。楽しみながらゆっくりと、念願の温泉と薪ストーブのある家を完成させたい。やがて迎える人生の締めくくりに、世界一周旅行に出ようと決めている。