涙と笑いの新春対談 野田義治×村西とおるの意外な親交秘話

公開日: 更新日:

 我らが巨乳マイスター野田義治(73)が会議室のドアを開けた。リアル全裸監督・村西とおる(71)が陽気な声で出迎えハグをした。数十年ぶりの再会だった。野田義治人生最大の窮地を救ってくれたのが村西とおるなら、村西監督の窮地を救ったのが野田義治だった。2人の秘話が紙面で初めて当人たちの口から語られる、新春スクープ対談!

  ◇  ◇  ◇

野田 ほんと何年ぶりなんだろう? とっつぁん(野田社長は村西とおるをいつもこう呼んでいた)の顔、久しぶりに間近で見ながら話したいよ(笑い)。

村西 元気だねえ(笑い)。日刊ゲンダイの「新巨乳バカ一代」も大評判で、私も毎日読んでるんだけどさ、映画化したいって話、随分聞いてるよ。

野田 勘弁してよ。そんなこと言わないでよ(苦笑い)。

村西 オレとか野田社長みたいなやつはもう二度と日本に生まれてこないから。こういう不屈の日々を経てきた男とその物語ってのは、郷愁の物語だから絶対に日本人にウケるのよ。

野田 うれしいね。昔に戻ってるね、しゃべり方が(笑い)。

 巨乳マイスター野田義治の目が涙でにじんでいる。

村西 もう毎日(野田社長と)会ってこうしてしゃべって、仕事したっていう日々が随分続いたんだから。でもね、村西とおるが今日あるのは野田義治のおかげなの。

野田 「全裸監督」読んだけど、あまりにもドラマチックだよ、それは。

村西 いや。オレの置かれた状況がドラマチックだから、あんなことが起きたんだよ。あんたは絶好調でさ、“巨乳の野田”って言われて売れまくってる時期だよ。オレはどん底だよ。

芸能界でオレの名前を出してもマイナスなのに(村西)

 ダイヤモンド映像グループを率いていた村西とおるは、バブル期に栄耀栄華極めるも衛星放送事業につまずき、放漫経営で行き詰まり、50億円の借金を背負い倒産、無一文になる。アンダーグラウンドの世界から多額のカネを借りていたために、過酷な取り立てで心身ともに限界に達し、資金繰りのさなか、六本木通りを車で走行中に自爆死を覚悟。猛烈な速度で西麻布交差点にさしかかった。

村西 そのときに渋谷の手前の交差点でさ、上に高速道路が走ってる。急ブレーキで路肩に止めて、肩で息してた。雨でワイパーが動いてる音を聞きながら、ああ死ねなかった、カネなくこれからどうしようかってときに、カーラジオからあなたの声が聞こえてきたんだから。“今日あるのは村西とおる監督のおかげなんだよ”って。オレはそのとき倒産してさ、世捨て人状態で、黒木香を自殺に追い込んだ男みたいなイメージ持たれていたから、村西とおるの名前を野田社長が世間に発表したって、プラスになること何一つないのよ。でも、平気で言ってくれたから、ああ、男気のあるやつだなって、よーし! もう一度やってみようかってなったんだよ。

野田 男気なんて言われてもさ、だってオレがその前に世話になったんだから。とっつぁんに。

村西 まあまあ。それからしばらくして、忘れもしないよ、テレビ東京の番組にまたこの男が出てて、また“今日(自分が)あるのはね、村西とおるのおかげなんだ”って言ってるの。芸能界でオレの名前なんか出したってマイナスにしかならないのに。それなのに……。自分自身が逆境でつらい思いしてるときに、気遣いしてくれたことって決して忘れないんだよ。

あのままAVやってりゃよかったんだよね(野田)

野田 それはお互いさま。オレだって(堀江)しのぶが闘病していたとき、カネがなくなってとっつぁんに、“仕事させてくれ。カネが必要なんだ”って言ったら、何にも聞かずにコンビニの袋に300万円詰めて渡してくれた。毎月毎月。芸能人のイメージビデオのプロデュース料だって言って。ラジオやテレビで、“感謝してる”って発言したのもそんなの当たり前の話だよ。

村西 あの2発、ラジオとテレビ。本人は忘れてるよ。そんなこと言ってないよって言うだろうけど(笑い)、言ってるんだよ。

野田 だってあの頃はとっつぁんと裏表でぴったりいたんだから。オレは、日刊ゲンダイの連載で(あの頃の話)書くなーって言ったんだけど(笑い)。

村西 野田社長は、脱がないセクシーエンターテインメントの世界をつくり上げたんだから。

野田 とっつぁんはロケット(衛星放送の意)打ち上げようとして失敗しちゃったけど、あのままAVだけやってたらよかったんだよ。でもうちらの業界の連中がさ、これ(新巨乳バカ一代)を読んで、もう面白がってるよ。

村西 まさか野田社長とオレがこんなに懇意にしてるって、世間の人は知らないだろうから。

野田 そうそう。だってね、とっつぁんの女房になる(ダイヤモンド映像専属女優)乃木真梨子にちょっかい出そうとして怒られたんだから(笑い)。

村西 ワハハハ! ナイスだね! でも何よりだよ元気で。

  四半世紀のブランクをものともせず、再会を果たすと、瞬時に往事のノリを復活させた。2020年。一体このふたりはどこへ向かおうとするのだろうか――。

 (構成=本橋信宏

▽野田義治(のだ・よしはる)
 1946年、富山県生まれ。渡辺プロ系列のプロダクションで夏木マリいしだあゆみらのマネジャーを担当。80年にイエローキャブ設立。故・堀江しのぶかとうれいこ細川ふみえ山田まりや佐藤江梨子小池栄子、MEGUMIらを発掘し「巨乳軍団」の名物社長として知られる。2004年に同社社長を辞任。現在はサンズエンタテインメント会長。

▽村西とおる(むらにし・とおる)
 1948年、福島県生まれ。裏本販売を経て、AV監督となり「AV界の帝王」へ。2019年は、自身がモデルとなっている「全裸監督」(Netflixオリジナルドラマ)が大ヒットとなり、注目が集まった。ドキュメント映画「M 村西とおる狂熱の日々完全版」も公開された。前科7犯、借金50億の激烈な半生を歩む。

▽本橋信宏(もとはし・のぶひろ)
 1956年、埼玉県所沢市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。私小説的手法による庶民史をライフワークとしている。バブル焼け跡派と自称。執筆はノンフィクション・小説・エッセー・評論まで幅広い。最新刊は、「東京裏23区」(大洋図書)。「全裸監督 村西とおる伝」(太田出版)が山田孝之主演でNetflixから世界190カ国同時配信中。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    ビートたけし「俺なんか悪いことばっかりしたけど…」 松本人志&中居正広に語っていた自身の“引き際”

  2. 2

    《もう一度警察に行くしかないのか》若林志穂さん怒り収まらず長渕剛に宣戦布告も識者は“時間の壁”を指摘

  3. 3

    フジテレビに「女優を預けられない」大手プロが出演拒否…中居正広の女性トラブルで“蜜月関係”終わりの動き

  4. 4

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  5. 5

    元フジテレビ長谷川豊アナが“おすぎ上納”告白で実名…佐々木恭子アナは災難か自業自得か

  1. 6

    中居正広氏&フジテレビ問題で残された疑問…文春記事に登場する「別の男性タレント」は誰なのか?

  2. 7

    人事局付に異動して2週間…中居正広問題の“キーマン”フジテレビ元編成幹部A氏は今どこで何を?

  3. 8

    萩原健一(6)美人で細身、しかもボイン…いしだあゆみにはショーケンが好む必須条件が揃っていた

  4. 9

    TV復帰がなくなった松本人志 “出演休止中”番組の運命は…終了しそうなのは3つか?

  5. 10

    別居から4年…宮沢りえが離婚発表「新たな気持ちで前進」

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ吉井監督が佐々木朗希、ローテ再編構想を語る「今となっては彼に思うところはないけども…」

  2. 2

    20代女子の「ホテル暮らし」1年間の支出報告…賃貸の家賃と比較してどうなった?

  3. 3

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  4. 4

    「フジ日枝案件」と物議、小池都知事肝いりの巨大噴水が“汚水”散布危機…大腸菌数が基準の最大27倍!

  5. 5

    “ホテル暮らし歴半年”20代女子はどう断捨離した? 家財道具はスーツケース2個分

  1. 6

    「ホテルで1人暮らし」意外なルールとトラブル 部屋に彼氏が遊びに来てもOKなの?

  2. 7

    TKO木下隆行が性加害を正式謝罪も…“ペットボトルキャラで復活”を後押ししてきたテレビ局の異常

  3. 8

    「高額療養費」負担引き上げ、患者の“治療諦め”で医療費2270億円削減…厚労省のトンデモ試算にSNS大炎上

  4. 9

    フジテレビに「女優を預けられない」大手プロが出演拒否…中居正広の女性トラブルで“蜜月関係”終わりの動き

  5. 10

    松たか子と"18歳差共演"SixTONES松村北斗の評価爆騰がり 映画『ファーストキス 1ST KISS』興収14億円予想のヒット