秘密のケンミンSHOWで若い人の会話に割って入れなくなった
ラジオ局・文化放送のDJ出身だけあって、テンポの良いしゃべりが売り物だった。その持ち味が出せなくなっている。若いタレントの名前も覚えられない。そろそろ年かなあ、潮時かもしれないな……という思いがよぎった。
「番組自体に勢いがあるから、自分が場に入りにくくなっていることに気付かないふりをしてきたんです。視聴率もずっと良かったですからね。それなりの存在感を示しながら、そこにいればいいのかなとも思ったり。でもテレビの映像というのは残酷ですよ。胃カメラのようにモロに映し出しますからね、老いを」
視聴率が良いうちに自分から降板しよう。数字が下がって尻すぼみでやめるのは嫌だ。年明けには心を決めていた。そして年賀状をくれた親しいスタッフに「そろそろ、ゆったりと過ごそうと思う」と今年の抱負をつづった手紙を出した。 =つづく
(ジャーナリスト・松田亜希子)