赤塚不二夫編<4>たこ八郎はママレモン入りサワーを作った
漫画家・赤塚不二夫家の愛猫・菊千代が縁で気が付けば「赤塚ファミリー」の一員になっていた。漫画以上にギャグな赤塚家の日常を紹介する。
先生がほぼ居座る2階の居間は和室。長いテーブルの奥が先生の定位置。そこから左右に来たもの順に座る。酒は基本的に飲みたい酒を居間の入り口横の冷蔵庫から各自、取ってくる。赤塚家の台所には近所の酒屋さんに作らせた特注のレモンサワー専用のサーバーが設置されていた。栓をひねれば自動的にサワーが出てくる優れものである。
珍しいサワー専用サーバーの設置までにはドラマがあった。サワーがまだ珍しい飲み物だった時代。味を覚えた先生は自宅で焼酎・炭酸・レモンを用意して飲んでいた。その頃よく遊びに来ていたのがたこ八郎。ボクサーから転身した異色のコメディアンだった。パンチドランカーでテレビ出演時も酩酊状態のように支離滅裂だったが、逆にこれが人気になった。
■面白ければなんでもOKの赤塚家
赤塚先生も可愛がり、家にもよく遊びに来ていた。“たこちゃん”と呼び赤塚家のペットのような存在だった。ある夜、「たこ、レモンサワーを作ってよ」と台所に行かせた。焼酎と炭酸、カットレモンを指示したが、たこちゃんが作ってきたレモンサワーは泡立っていて苦い……。