著者のコラム一覧
田中幾太郎ジャーナリスト

1958年、東京都生まれ。「週刊現代」記者を経てフリー。医療問題企業経営などにつ いて月刊誌や日刊ゲンダイに執筆。著書に「慶應幼稚舎の秘密」(ベスト新書)、 「慶應三田会の人脈と実力」(宝島新書)「三菱財閥 最強の秘密」(同)など。 日刊ゲンダイDIGITALで連載「名門校のトリビア」を書籍化した「名門校の真実」が好評発売中。

小道具として使われた古関裕而の撮影機は驚きの値段だった

公開日: 更新日:

 その最大の理由は価格が高すぎたことだ。撮影機だけ買っても、それを見ることができなければ意味がない。必然的に映写機も購入しなければならず、合わせた価格は320円。現在の貨幣価値に換算すると200万円を超え、ほんの一握りの富裕層しか買えなかった。

■念願の愛機を購入したのはいつ?

 その後は毎年のように値引きされていき、徐々に普及。個人映画コンテストなども開かれるようになり、ホームムービーブームが巻き起こる。ちょうどそのころ上京した古関は欲しくてたまらなかったようだが、さすがにすぐに飛びつくようなことはしなかった。

 日本コロムビアの専属作曲家となって、多額の契約金を手にしたとはいえ、新婚ホヤホヤの古関に散財する勇気はなかったのだろう。契約金といっても、ヒットを出さなければ、返さなければならないたぐいのカネだった。

 古関がパテベビーを購入したのは長女が生まれた1932年ころだと推察される。当初の半値程度まで下がっていたが、そうそう手を出せる価格ではない。しかもまだ、「船頭可愛いや」を世に送り出す3年前である。

 大きかったのは前年に早稲田大応援歌の「紺碧の空」を作曲したことだろう。慶応大野球部に連戦連敗だった早大野球部がこの曲で応援を受けたとたん勝利。自信を深めた古関は思い切って、待望のパテベビーを手に入れたのだった。

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