再開したNHK朝ドラ「エール」10話分カットが吉と出る幸運
新型コロナウイルスの感染防止で無観客紅白なのは残念だが、これを逆手にとって、むしろダイナミックで立体的な演出になりそうだという。NHKホールの観客席や駐車場に臨時のステージを設置することが可能になり、本ステージ、臨時ステージ、リモートのロケを一体にして、エールの出演者たちがあちこちから歌うマルチ歌唱・演奏なんて楽しそうだ。
それにしても、カットする10話分はどの時代なのだろう。古関夫婦の人生を描くなら、「露営の歌」「若鷲の歌」など戦時歌謡で若者を戦地に送り出し、敗戦後は一転して「長崎の鐘」「とんがり帽子」で平和を賛美するなど、時代の流れに乗って変転していく十数年は外せない。
コンビを組んで、「イヨマンテの夜」「君の名は」などのヒットを次々に飛ばした劇作家・作詞家役(モデルは菊田一夫)に北村有起哉の起用が発表されているところから、戦後の歌謡曲や映画音楽での活躍も何話かありそう。
「主人公・古山裕一と妻の音の家族や故郷のその後の話が削られたようですね。最近の朝ドラは、主人公にエピソードが乏しく、最後の1カ月はアップアップになってしまうんです。10話カットでストーリー展開が締まって、かえっていいかもしれませんね」(前出の民放編成局幹部)
来週の第15週から戦争の時代に突入する。
(コラムニスト・海原かみな)