著者のコラム一覧
本多正識漫才作家

1958年、大阪府生まれ。漫才作家。オール阪神・巨人の漫才台本をはじめ、テレビ、ラジオ、新喜劇などの台本を執筆。また吉本NSCの名物講師で、1万人以上の芸人志望生を指導。「素顔の岡村隆史」(ヨシモトブックス)、「笑おうね生きようね いじめられ体験乗り越えて」(小学館)などの著書がある。新著「1秒で答えをつくる力──お笑い芸人が学ぶ『切り返し』のプロになる48の技術」(ダイヤモンド社)が発売中。

天竺鼠の瀬下君に睨まれて…奇想天外“天竺ワールド”の原点

公開日: 更新日:

 これも後々知ったことですが、鹿児島県内の違う高校ながら野球部のつながりで意気投合、お笑いを目指してコンビを組むことにした2人は、NSC入学前に1年間はいろいろな経験をしようということで、川原君は地元での大工修業や大阪に出てきて会社員をやり、瀬下君は東京のホストクラブで毎日舞台に上がってなにかしらのパフォーマンスをしながらお金を貯めて、それぞれが仕事の合間に大小さまざまなお笑い劇場やイベントに足を運び、東京と大阪のお笑い事情・情報を持ち寄り話し合った結果「俺たちは大阪のNSCに行こう」という判断を下して入学したのでした。入学してからバイトをしなくてもいいように軍資金を貯めてから入ってくる生徒はいますが、ここまで綿密な計画を立ててそれを実行してNSCに来た生徒は極めて珍しいと思います。おそらく天竺鼠だけではないでしょうか。あの奇想天外な荒唐無稽な芸風からは想像できない、大人の考えと覚悟を持っていた話を聞いた時には「そこまで考えて来てたんか……」と正直驚かされました。

 入学以来、さまざまな形のコントや漫才を披露してくれていますが、一貫してブレない姿勢はますます独自の“天竺ワールド”を濃いものにさせていくでしょう。

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