立川談志への弟子入り願う俺を凍らせた高信太郎さんの一言
絶望……撃沈……白旗……それでも一門会がはねた後、漫画家の高信太郎さん(写真)が談志との間に入ってくれるというので、立川一門が打ち上げを盛大に繰り広げている飲み屋へ向かったのだった。
高さんの後に付いて歩く俺の足取りはひたすら重く、その背中はヤドカリほどに丸く力なかったのだろう……。そんな俺の心情を察したのか、高さんは「大丈夫だよ! オレにまかせとけ、オレだって落語ファンだし、談志のコトならなんでも知ってんだから、まあ、大船に乗ったつもりでいろよ!!」と励ましてくれるのだったが、普段から荻窪の居酒屋で上半身裸になり、「アントニオ猪場(アントニオ猪木とジャイアント馬場をミックスしたモノマネ)しか見ていなかったので、そんな言葉などみじんも信じられるどころか、あっさりと弟子入りを断られるので、2人きりの残念会を別の居酒屋でやろうという運びになり、またあのアントニオ猪場が登場するのか……と思い、俺の心はさらに沈んでいく一方だった。
一門会の宴がそろそろ終わろうとする頃、畳の部屋の一番上座にいた師匠の声が耳に飛び込んできた……。