著者のコラム一覧
てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。「芸能界」というビジネスは、いかにして始まったのか。貴重な証言を収録した「芸能界誕生」(新潮新書)。伝説の番組「アメリカ横断ウルトラクイズ」を基に描く青春群像ノンフィクションノベル「史上最大の木曜日 クイズっ子たちの青春記」(双葉社)。2つの最新著が絶賛発売中!

"親方"の言葉を支えに舘ひろしが咲かせた「大根の花」

公開日: 更新日:

 岩城滉一と共にバイクチーム「クールス」を結成し、キャロルの親衛隊として名を馳せた舘は、1975年に俳優としてのキャリアをスタートさせた。当初は割の良いバイト感覚だったという。だが、2度目の人生の転機が訪れる。「西部警察」で渡と出会ったことで意識が大きく変わったのだ。

 それまで役者の先輩といえば、挨拶しても横柄な態度をとる人ばかりだったが、渡だけは舘と初めて会ったときに、わざわざ立ち上がって握手をし、丁寧に挨拶してくれた。芝居の基礎を学ばずにこの世界に入ったことがコンプレックスだった舘に、渡は「ひろし、お前には華がある」(同前)と褒めてくれた。その言葉が大きな支えになったという。

「『西部警察』という作品はとても楽しかったし、僕を成長させてくれましたけど、それより何より、この作品で渡(哲也)と出会えたことに意味がある…その一言に尽きます」(ジュピターテレコム「MY J:COM」15年9月30日)

 そう振り返るほど、舘にとって渡は大きな存在だった。

 そんな渡をいつしか「親方」と呼ぶようになった舘。2018年には、映画「終わった人」(東映)で、モントリオール映画祭の最優秀男優賞を受賞した。その際、「おい、ひろし」と渡から電話がかかってきた。「よかったな。俺ら石原プロは、石原裕次郎はじめ、みんな大根だけど、お前は大根に花を咲かせてくれた」(テレビ朝日「徹子の部屋」19年2月11日)と。

 渡の「華がある」という言葉を支えに俳優業を邁進していた舘にとって、その言葉は何物にも代えがたいものだったに違いない。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    永野芽郁“”化けの皮”が剝がれたともっぱらも「業界での評価は下がっていない」とされる理由

  2. 2

    眞子さん極秘出産で小室圭さんついにパパに…秋篠宮ご夫妻に初孫誕生で注目される「第一子の性別」

  3. 3

    遠山景織子の結婚で思い出される“息子の父”山本淳一の存在 アイドルに未練タラタラも、哀しすぎる現在地

  4. 4

    永野芽郁は映画「かくかくしかじか」に続きNHK大河「豊臣兄弟!」に強行出演へ

  5. 5

    桜井ユキ「しあわせは食べて寝て待て」《麦巻さん》《鈴さん》に次ぐ愛されキャラは44歳朝ドラ女優の《青葉さん》

  1. 6

    芳根京子“1人勝ち”ムード…昭和新婚ラブコメ『めおと日和』大絶賛の裏に芸能界スキャンダル続きへのウンザリ感

  2. 7

    天皇一家の生活費360万円を窃盗! 懲戒免職された25歳の侍従職は何者なのか

  3. 8

    永野芽郁&田中圭の“不倫LINE”はどこから流出したか? サイバーセキュリティーの専門家が分析

  4. 9

    西内まりや→引退、永野芽郁→映画公開…「ニコラ」出身女優2人についた“不条理な格差”

  5. 10

    小泉進次郎氏「コメ大臣」就任で露呈…妻・滝川クリステルの致命的な“同性ウケ”の悪さ

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    僕の理想の指導者は岡田彰布さん…「野村監督になんと言われようと絶対に一軍に上げたる!」

  2. 2

    小泉進次郎氏「コメ大臣」就任で露呈…妻・滝川クリステルの致命的な“同性ウケ”の悪さ

  3. 3

    綱とり大の里の変貌ぶりに周囲もビックリ!歴代最速、所要13場所での横綱昇進が見えてきた

  4. 4

    永野芽郁は映画「かくかくしかじか」に続きNHK大河「豊臣兄弟!」に強行出演へ

  5. 5

    永野芽郁“”化けの皮”が剝がれたともっぱらも「業界での評価は下がっていない」とされる理由

  1. 6

    元横綱白鵬「相撲協会退職報道」で露呈したスカスカの人望…現状は《同じ一門からもかばう声なし》

  2. 7

    関西の無名大学が快進撃! 10年で「定員390人→1400人超」と規模拡大のワケ

  3. 8

    相撲は横綱だけにあらず…次期大関はアラサー三役陣「霧・栄・若」か、若手有望株「青・桜」か?

  4. 9

    「進次郎構文」コメ担当大臣就任で早くも炸裂…農水省職員「君は改革派? 保守派?」と聞かれ困惑

  5. 10

    “虫の王国”夢洲の生態系を大阪万博が破壊した…蚊に似たユスリカ大量発生の理由