シティーポップに仕上がった「ドラマティック・レイン」
稲垣潤一さんに初めてお会いしたのは「ドラマティック・レイン」の時です。高校時代に吹奏楽部で一緒だった先輩が、レコード会社のプロデューサーになっていて、ある時、「稲垣潤一というドラマーがいて、歌がとってもいいから今度デビューさせたい」と依頼が来たんです。
■稲垣潤一は独特の個性がある声の持ち主
筒美京平先生の六本木の事務所にもいらっしゃって打ち合わせをしました。稲垣さんは物静かで、口数の少ない方でしたが、時々話す声が非常に魅力的だったんですよ。
京平先生が稲垣さんに曲を書こうと思うはずだと納得しましたね。先生が積極的に曲を作りたいと思う人は声に特徴があることが多いんですよ。独特の個性がある声の持ち主です。
たとえば、郷ひろみさん、平山みきさん、太田裕美さん、C―C―Bの笠さんら。郷ひろみさんの「男の子女の子」、平山みきさんの「真夏の出来事」、太田裕美さんの「木綿のハンカチーフ」、C―C―Bの「Romanticが止まらない」など、どの曲も一度聴いたら忘れられない、他の人とはかぶらない、独特のいい声ですよね。