追悼・李麗仙さん シャガれた声で「カスバの女」熱唱の一夜が忘れらない

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 翌日は2人で東京に戻ったのだが、この時は離婚し、唐さんは再婚相手との間にお子さんが生まれた後。複雑な事情があるのに唐さん、義丹さん、お子さんのことなどを電車の中で語ってくれたことも思い出す。

 また、唐さんとつくり上げた「状況劇場」の看板女優としてのすごさを見せつけられたのは94年の赤坂の劇場で演じた一人芝居。この時は稽古か何かで頚椎をやられて首にコルセットを巻いていた。公演は中止かと新聞の見出しにもなっていた。公演が行われているのを確認して楽屋に陣中見舞いにうかがったところ、そこには痛み止めを打って鬼気迫る姿で舞台をこなす女王の姿があった。

 よく顔を合わせた新宿の店や代官山のガラス張りのカウンターバーで飲んだ思い出もある。

 義丹さんに日刊ゲンダイ連載コラム「おふくろメシ」の取材をお願いしたことがある。義丹さんにとって麗仙さんが作るおふくろメシはひじきの煮物。そういえば、「息子がいつも『かあちゃん、腹へった』と甘えるんだよ」と語っていた。合掌。

(峯田淳/日刊ゲンダイ)

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