唐十郎「状況劇場」で異彩 怪優・大久保鷹の“破天荒”人生
60年代後半、「天井桟敷」「黒テント」と並び、アングラ演劇ご三家として名を馳せた唐十郎率いる「状況劇場」。そこの看板俳優が大久保鷹さん(72)だった。麿赤児、四谷シモン、不破万作、十貫寺梅軒ら個性派の中でもひときわ異彩を放ち、“怪優”と呼ばれた。今どうしているのか。
■故・蜷川幸雄に招かれ舞台出演も…
「芝居の稽古中でしてね。唐十郎の『新・二都物語』なんだけど、ボクが状況劇場を退団した後に上演してるから、新作と向き合ってる感じ。すごく新鮮な気分です」
高田馬場にある喫茶店で会った鷹さん、こう言ってニヤリと笑った。
「蜷川幸雄さんが亡くなりましたよね。その昔(78年)、蜷川さんに招かれ、日生劇場に出たことがあるんです。いわゆる商業演劇で、シェークスピアの『マクベス』の門番役。フツーにやったらつまんないでしょ。だから毎回、アジだのサンマだの生魚を口にくわえて舞台に出て、ある日、主演の栗原小巻さんにくわえてた生サバをぶつけたら、“なんであんな人と舞台に立たなきゃいけないの!!”と烈火のごとく怒ったとかで、以来、商業演劇からはお呼びがかかりません、ハハハ」