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細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

飯野矢住代誕生秘話<7>「姫」はミス・ユニバース効果で大繁盛も…

公開日: 更新日:

 にんまりする「姫」のスタッフとは対照的に、山口洋子は手放しで喜べなかった。浮かぬ顔をしている洋子に「ママ、一体何が不満なんです?」と店のマネジャーはいぶかしそうに尋ねた。

「……ちょっとね」

 理由は矢住代の金銭問題にあった。この時期、矢住代は芸能活動に加えて、「姫」の1日の報酬も1万5000円(現在の価値で6万円)を稼ぎ出していた。恐らく銀座のトップだったに違いない。何不自由なかったはずだが何かにつけて「ママ、ちょっと……」と金を無心していたという。

「あんた、毎日お給料あげてるでしょう。ギャラだってあるんだろうし」

「そうなんだけどね……。じゃあバンスってことで」

「バンス」とは「アドバンス」の略、すなわち「前借り」もしくは「前払い」を指す。恋人に貢いでいるらしいことは洋子も知っていた。ザ・タイガースの加橋かつみとの交際が世間を騒がせたが、破局後は大学生の恋人がいると週刊誌も報じていた。


 あまりに要求が続くのである日、洋子は堰を切ったように言った。

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