著者のコラム一覧
細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

飯野矢住代誕生秘話<4>母親の要求に山口洋子は「わかりました。ウチも倍の金額を支払います」

公開日: 更新日:

 山口洋子は知人から教えられた住所を頼りに、飯野矢住代の住むアパートを探した。真夏の蒸し暑い日だったという。汗を拭いながら、道玄坂の細い路地を行ったり来たりして、ようやく一軒の古いアパートにたどり着いた。ミス・ユニバース日本代表に選ばれるような、一流モデルの住む自宅には見えなかった。

「ごめんください」と言うと、空咳の後、「どちらさん?」と聞こえた。矢住代の母親だった。質素な二間きりのアパートに母子は肩を寄せ合うように暮らしていた。このときのことを山口洋子は次のように書き残している。

《私は名刺を出して単刀直入に、実はおたくのお嬢さんのことなんですけどと話を進めた。ぜひうちの店で働いていただきたくて、お願いにあがりました、むろん条件は最高にさせていただきます。とりあえず百万円の契約金でといったあと、素人から働くにしてはめいっぱい弾んだつもりの給料の額を伝えた。(中略)母親は、そりゃあママさん、何といっても本人の意志が先ですよもう大人ですから、いったい矢住代がどういいますかね……(中略)神妙に頷きながら、食えない相手だと踏んでいた》(「ザ・ラスト・ワルツ 『姫』という酒場」/文春文庫)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”

  2. 2

    中日1位・高橋宏斗 白米敷き詰めた2リットルタッパー弁当

  3. 3

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  4. 4

    八村塁が突然の監督&バスケ協会批判「爆弾発言」の真意…ホーバスHCとは以前から不仲説も

  5. 5

    眞子さん渡米から4年目で小室圭さんと“電撃里帰り”濃厚? 弟・悠仁さまの成年式出席で懸念されること

  1. 6

    悠仁さま「学校選抜型推薦」合格発表は早ければ12月に…本命は東大か筑波大か、それとも?

  2. 7

    【独占告白】火野正平さんと不倫同棲6年 元祖バラドル小鹿みきさんが振り返る「11股伝説と女ったらしの極意」

  3. 8

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  4. 9

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  5. 10

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議