飯野矢住代誕生秘話<17>「もう一度、昔の2人に戻りましょう」再び銀座の世界へ
「彼のドラムプレーについて言うと、テクニックの人では決してないんです。その意味だけで言うと山木秀夫のようにスタジオ系の人の方がうまいでしょう。では、高橋幸宏のようにリズム走ったタイプかと言うとそうでもない。ジョニー吉長は、派手さはなくともステディー(安定した)なプレーを堅持するタイプ。もちろん相性もあるんだけど、演奏者からすると信頼できるんです。あと、何度も言うようですが彼の秀麗なマスク。ドラムスって一見地味なポジションですが、彼のようにあか抜けた存在が控えているというのは、バンドにとっては得難いことに違いないと思います」
後年、Charやルイズルイス加部をはじめ、加納秀人(外道)、鮫島秀樹(HOUND DOG)、ミッキー吉野、桑名正博らに請われてユニットに参加した理由もそこにあったとすれば、黎明期のこの時代においても、メンバーにとって不可欠な存在だったのかもしれない。意を決したジョニーの懇願に対し、矢住代はこう返した。
「いいわよ。好きな仕事ですもの。もう一度、昔の2人に戻りましょう」
かくして2人の仲は終わった。濃密な出来事が次々に起きた割に、1年足らずの短い関係だった。