秋篠宮さまが2021年誕生日会見で指摘した皇族の「公」と「私」の曖昧さ

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 ところで、天皇は存在そのものが公的だと述べたが、昭和天皇が生後間もなく両親から離されてご養育係に預けられたのも、そうなるように育てられたのだろう。しかし、皇太子時代にイギリスを訪問したとき、エドワード8世から〈父陛下にどれ位おあいになるかときかれたが、其頃は一週一度位であった故(略)返答に苦しんだことは今に私は忘れぬ〉(「昭和天皇拝謁記」)と悔やまれている。「家族」という実感がなかったのかもしれない。その一方で、昭和天皇は皇太子のこと(現上皇さま)を「東宮ちゃん」と呼ぶなど、子供たちが大人になっても「ちゃん」付けで呼んだのは、家庭に渇望があったのではないだろうか。

 戦後は上皇さまの代から、庶民と同じように子供たちと一緒に生活するようになった。ただ違和感を抱いた人たちから、皇太子だった上皇さまが皮肉を込めて「マイホームパパ」などと呼ばれたのは時代の端境期だったからだろう。「公」である皇族に「私」が入ってきたことに、拒絶感があったのだ。それでも上皇さまは、「私にとり、家族は大切でありましたが、昭和天皇をお助けし、(略)国や社会のために尽くすことは最も重要なことと考えてきました。……私人として過ごすときにも自分たちの立場を完全に離れることはできません」(2001年)と述べ、「私」は大切だと述べつつ、全力で「公」に尽くすことを意識されている。

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