キャスター交代と抜擢の明暗…怒った人、落ち込んだ人、はしゃいだ人

公開日: 更新日:

 春の番組改編で多くの司会者やキャスターが入れ替わったが、自分の交代を納得しているのかいないのか、出演の最後にはっきり表れた。

 まず、見るからに憤懣やるかたなしという感じだったのは、フジテレビ系昼のワイドショー「バイキングMORE」の司会・坂上忍だ。最終回は「引退ぶっちゃけ会見」と称して、坂上が常連コメンテーターから質問を浴びるという企画だったのだが、ここで「去っていく人間にできることは、次の番組を応援することだけですから」とふてくされ、涙も流した。それまでのバラエティー路線を時事情報重視に変えさせ、放送時間も3時間に拡大しながら、1年半で打ち切りというのだからさぞ無念だろう。

 もうひとり残念そうだったのは、NHK「ニュース7」から「首都圏ネットワーク」に移った上原光紀アナだ。看板番組「ニュースウオッチ9」の和久田麻由子キャスターの後任最有力と言われていたのに、まさかの格落ち番組への異動である。しかも、「ブラタモリ」の同行アシスタントぐらいしか実績のない後輩の林田理沙アナとの交代。「ニュース7」で「きょうが最後なんですよね」と振られて、笑顔ながらも「(最後だという)実感が湧いてきて、さびしいんですが……」と、悔しさをにじませた。

エンディングでは「また来週!」と

 古舘伊知郎も「日本人のおなまえ」の終了は不本意だったようで、最終回の特別編のエンディングで「また来週!」とやった。

 一方、大はしゃぎだったのが、上原と入れ替わった林田だ。一時はげっそり痩せて表情も乏しく、職場でいじめにでもあっているのではと心配されたが、年が明けてからはメークをばっちり決め、ヘアスタイルも変えて別人のように明るくなった。おそらく、このころに抜擢の内示があったのだろう。「首都圏ネットワーク」最終日は、喜色満面で「この番組で経験させていただいたことを糧に、これからも日々、励んでまいります」と気持ちはすでに「ニュース7」に飛んでいた。

先輩社員をヨイショする余裕も

 テレビ朝日系のワイドショー「羽鳥慎一モーニングショー」で3年間アシスタントを務めた斎藤ちはるアナは、「グッド!モーニング」に担当替えになった。入社式の前に番組デビューという異例の抜擢だった斎藤に、経験を積ませようという定期異動なのだろう。最終日には「卒業コーナー」がセットされ、テレ朝コメンテーター玉川徹を「すごく怖かったです。でも、お話(悩み)もいろいろ聞いてもらいました」と先輩社員をヨイショする余裕を見せた。

「NW9」キャスター、「ヒューマニエンス~40億年のたくらみ~」進行担当をそれぞれ交代した和久田麻由子アナと井上あさひアナは、「2年間ありがとうございました」「私、これから休みに入ります」とサラリとあいさつ。2人とも産休・育休入りと“自己都合降板”だから、晴れ晴れとしたものだ。

 失意の人、得意の人……さて新しい番組でどんな顔を見せるのか、楽しみである。

(コラムニスト・海原かみな)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    岡田阪神は「老将の大暴走」状態…選手フロントが困惑、“公開処刑”にコーチも委縮

  2. 2

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  3. 3

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  4. 4

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  5. 5

    中日・根尾昂に投打で「限界説」…一軍復帰登板の大炎上で突きつけられた厳しい現実

  1. 6

    安倍派裏金幹部6人「10.27総選挙」の明と暗…候補乱立の野党は“再選”を許してしまうのか

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    79年の紅白で「カサブランカ・ダンディ」を歌った数時間後、80年元旦に「TOKIO」を歌った

  4. 9

    阪神岡田監督は連覇達成でも「解任」だった…背景に《阪神電鉄への人事権「大政奉還」》

  5. 10

    《スチュワート・ジュニアの巻》時間と共に解きほぐれた米ドラフト1巡目のプライド