浅香あき恵が繰り出すネーティブも納得の大阪弁と気遣いは「大阪のおばちゃん」そのもの
ワンマンで嫌みな女社長から、涙を誘うお母さん役まで、どんな役柄でも自在にこなされる浅香あき恵さん。新喜劇になくてはならない存在です。
初めてお会いしたのは1985年ごろ、記憶が正しければ「吉本コメディ」で巨人さんの恋人役のマドンナ時代でした。その後も楽屋でお会いすることが多く、駆け出しの私に声をかけてくださっていました。
とにかく、気遣いぃで親切。私が新喜劇を書くようになって稽古に立ち会っていた時に、何事もないように頭痛などを我慢していると見逃さず、稽古の合間を見て、「しんどいんちゃう? 大丈夫?」「ちょっと頭が痛いだけで大丈夫です。ありがとうございます」「アカン、アカン、薬取ってきたげるわ、ちょっと待っといて~」と走って頭痛薬を取りに行ってくださっていました。それは誰に対しても同じで、「よく周りを観察されてるなぁ」と感心することが数多くありました。
「おせっかいやきやねん!」と謙遜されますが、まさに「大阪のおばちゃん」そのもの。
それが話を伺うと、根っからの大阪人ではなく大分の出身で高校生の時に引っ越してきたとのこと。“ネーティブな大阪弁”は案外難しく、同じ関西でも、京都や神戸とも違います。以前、三重と山梨出身のニューヨークの2人がNSCのOBネタ見せで大阪弁を使ったネタを披露しましたが、ネーティブからすると違和感があり、大阪では“大阪弁もどき”は使わない方がいいと言ったこともあるくらいです。それが大阪人が聞いてもなんの違和感も持たない大阪弁を話されるのですから、あき恵さんは耳がいいのだと思います。