スティーブン・スピルバーグ監督が初の自伝的作品「フェイブルマンズ」で得たカタルシス
■映画しか居場所がなかった
「スピルバーグご本人も語っていますが、発達障害の一種で、文章が満足に読めなかったこともあり、小学校、中学校と勉強がまったくできなかった。そのうえクラスで一番体が小さく痩せっぽちで、運動ができなかった。本当に映画しか行き場、逃げ場がない。どうしようもなかったんです」
そうした環境、逆境が天才を育んだのである。ハリウッドのみならず、映画界で最も成功した人物の一人に数えられ、「アメリカで最も裕福なセレブリティー」にも挙げられるスピルバーグ。類いまれなキャリアを築いてなお、幼少期のトラウマを引きずり、「これを語らずにキャリアを終えるなんて、想像すらできなかった」とコメントしている。そんな自身の分身のような“フェイブルマン”の公開でようやくカタルシスを得たのかもしれない。