「安倍晋三とジャニー喜多川」政治と芸能を取り巻く状況は相似形をなしている
両者には共通項がある。もちろん、今はなき喜多川氏その人だ。
『妖怪の孫』は、一昨年に公開されスマッシュヒットを記録した、邦画としては画期的な現役首相(=菅義偉前首相)を追う内山雄人監督のドキュメンタリー『パンケーキを毒見する』の後継作。天皇誕生日の先月23日、内山さんから誘われて参加した完成披露試写会には、「サクラが見る会」なる人を食ったようなタイトルが付いていた。そのことからも作品のムードは察しがつくだろう。
ぼくの両隣には、付き合いの長いラッパーのKダブシャインさん、作品に出演もしているジャーナリストの鈴木エイトさんが座った。3人とも同じ1968年生まれ。しかもエイトさんも学生時代から20代半ばまではプロデビューを目指して音楽活動を続けていたらしい。ぼくたちは青春のど真ん中にポップミュージックが鎮座していた世代。昭和に生まれ洋楽まみれで感性を育み、20~40代をまるまる平成に捧げた3人なのだった。若い時分にライブハウスで邂逅してもよかった3人が、令和のいま、憲政史上最長の在任期間を誇る元首相のドキュメンタリーに向き合う。それぞれ違うはずの政治的スタンスを携えて。不思議といえば不思議。いや案外必然なのかな。