新喜劇・たつじいネタ誕生の裏話「完全にとんでもうて、考えてるふりして寝てしもたろと思って寝たんよ」
吉本新喜劇でずっとおじいちゃん役を演じて「たつじい」の愛称で慕われてらした井上竜夫さん。亡くなられてからもう7年近くになりますが、今も楽屋へ伺うと「おはようさん」という穏やかな声が聞こえてきそうです。子供の頃から新喜劇でおじいちゃん役の井上さんしか見たことがなかったので、1985年に楽屋でカツラをはずしたフサフサの黒髪でさっそうと歩いてらっしゃるのを見た時には正直驚きました。90年から10年間新喜劇を書かせていただいた際には、いろんなお話を伺いました。
「子供の頃から井上さんのおじいちゃん役しか見たことないんですけど、いつから老け役をやってはるんですか?」と伺うと「高校生の時からずっと老け役。そうやねん、演劇部で僕がおじいちゃん役やって、近畿代表で全国大会まで行って、えらい褒められたんよ。それからずっとやな」と笑われて、吉本新喜劇に入られた時も担当者に「どんな役やりたいねん?」と聞かれ「老け役がしたいです言うたら“おまえ変わっとんな、みな二枚目か三枚目や言うのに”」と笑われたそうですが、入団当初(1963年)は若手が多く、その分、早く役がついたそうです。