著者のコラム一覧
松尾潔音楽プロデューサー

1968年、福岡県出身。早稲田大学卒。音楽プロデューサー、作詞家、作曲家。MISIA、宇多田ヒカルのデビューにブレーンとして参加。プロデューサー、ソングライターとして、平井堅、CHEMISTRY、SMAP、JUJUらを手がける。EXILE「Ti Amo」(作詞・作曲)で第50回日本レコード大賞「大賞」を受賞。2022年12月、「帰郷」(天童よしみ)で第55回日本作詩大賞受賞。

バブル期の狂騒と終焉は「新しめの昔話」ではない 現代と地続きの「終わりのない物語」だ

公開日: 更新日:

 以降の彼女は同クラブ会長として声明やコメントを連発する。当初そのことには少なからず驚きがあった。なぜなら、桐野夏生は社会的弱者である女性たちの窮状や憤りをあくまで小説というカタチに落とし込むことで、現代社会が抱える問題をいくつも浮かび上がらせてきたからだ。弁当工場のパート主婦4名が自由を求めて行動を起こす初期代表作『OUT』、名門女子高内のヒエラルキーに現代の宿痾を見出す『グロテスク』のように、桐野作品にはシスターフッド(女性同士の連帯)を描いて優れたものがいくつもあるが、それらは例外なく小説形式を必要としていたと感じる。小説という矢でこの国を撃つ、とでもいうような。同世代の作家で一時はよく比較もされた髙村薫は、小説に加えてストレートな提言という形で社会と対峙するようになって久しいが、両者の表現の違いは生き方の違いであるかのようなイメージを双方の読者として抱きつづけてきた。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元グラドルだけじゃない!国民民主党・玉木雄一郎代表の政治生命を握る「もう一人の女」

  2. 2

    深田恭子「浮気破局」の深層…自らマリー・アントワネット生まれ変わり説も唱える“お姫様”気質

  3. 3

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”

  4. 4

    粗製乱造のドラマ界は要リストラ!「坂の上の雲」「カムカムエヴリバディ」再放送を見て痛感

  5. 5

    東原亜希は「離婚しません」と堂々発言…佐々木希、仲間由紀恵ら“サレ妻”が不倫夫を捨てなかったワケ

  1. 6

    綾瀬はるか"深田恭子の悲劇"の二の舞か? 高畑充希&岡田将生の電撃婚で"ジェシーとの恋"は…

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    “令和の米騒動”は収束も…専門家が断言「コメを安く買える時代」が終わったワケ

  4. 9

    長澤まさみ&綾瀬はるか"共演NG説"を根底から覆す三谷幸喜監督の証言 2人をつないだ「ハンバーガー」

  5. 10

    東原亜希は"再構築"アピールも…井上康生の冴えぬ顔に心配される「夫婦関係」