吉本新喜劇の最年長「和子のおばちゃん」は“漫才の神様”いとし・こいし師匠の唯一の弟子
吉本新喜劇の最年長。「和子のおばちゃん」で有名な桑原和男さん。
私が初めて新喜劇を書いた1990年からお世話になっています。
「こんな(役の)出し方では意味がないんちゃうか? もうちょっと考えてみい」「この話はおもろい、ようできてる!」と、時に厳しく、時に満面の笑みで褒めていただき、桑原さんが出演されている際はいつも緊張していました。芝居の稽古の際「台本をもろた時に読む前から今度の芝居は自分(本多)やなて、わかんねん。(台本が)分厚いねん。短いやりとりの掛け合いが多いから字数以上にページ数が増えるんや。漫才作家が書いた芝居は他の作家とは違うねや」と良くも悪くも特徴があると言ってかわいがっていただきました。
それというのも桑原さんは“漫才の神様”と呼ばれた「いとし・こいし師匠」のお弟子さんだったのです。そんなことを全く知らず、いとし・こいし師匠にトーク番組に出ていただいた時に「漫才は落語と違うて伝承する芸やないから、僕らは弟子は取らんかったんやけど唯一の弟子が新喜劇の桑原和男。彼だけ。漫才師にはなれんかったけど、しっかりしたええお弟子さんやったよ」という話を伺った時に初めて知りました。「“弟子にしてください”いう手紙が来て、断っても断っても手紙がまたすぐ来るさかい、その熱意にうたれたんやね」とのことでした。