吉本新喜劇の最年長「和子のおばちゃん」は“漫才の神様”いとし・こいし師匠の唯一の弟子
後日、楽屋でいとし・こいし師匠のお話をすると「お世話になったのになんの恩返しもできんかったなぁ……。きー坊(西川きよしさん)みたいに芝居から漫才に行って花開く場合もあるし、人それぞれやわ……」と感慨深く話しておられました。当時すでに重鎮的な存在で、自分の出番だけでなく、本読みの段階から芝居全体を見て意見されるのですが、その際も座長をしっかり立てられる、筋の通った性格の方でした。
桑原さんといえば「ごめんください。どちらさまですか? 桑原和子です。お入りください。ありがとう」と、ひとりで全部処理してしまうギャグが有名ですが、あのギャグの誕生について伺うと、「あれは夫婦役の夫やって、“ただいま”て帰った時に“おかえり”言う妻役が出て来いひんからその間を埋めないかんと思って、ひとりで“おかえり”“ありがとう”言うたら、ようウケたんや」。これが元になり“ごめんください!”へと変わっていきどんどんふくらんでいったそうです。
「ギャグは考えて作ったもんより、アドリブでできた方が多いんとちがうかな」とおっしゃっていました。