「SWAのメンバーは創作の刺激になってますし、新作派の後輩たちには背中を押されてる」
彦いちは学生時代、極真空手の道場に通っていた。
「一時は大山倍達総裁に弟子入りしたいと思ってました。ところが、道場で化け物みたいな肉体と精神を持つ猛者連中に圧倒され、痛いのが好きじゃないこともわかったので、断念して木久扇に弟子入りしたわけです」
落語協会のビッグイベント<謝楽祭>は、毎年9月に開かれる。コロナ禍で休止する以前、彦いちは空手を生かしたパフォーマンスを披露していた。
「僕が実行委員長を務めた年に、『労りの男』と銘打ったのが最初で、5年続けてやりました。これは、お客さまに空手の練習用の板を500円で買っていただき、日頃不満に思っていることを書いてもらいます。その板を僕が空手で割って、お客さまの心を労る。労りと板割りをかけてます(笑)。割った板は、後日、僕がお焚き上げをしてもらうんです」
露店で飲食物や落語家グッズを販売する芸人が多い中、パフォーマンス系は珍しく、毎年行列ができたという。
「ある年なんか、午前中のうちに70枚も割ったら、さすがに拳を痛めまして(笑)。午後は、『只今治療中』という札を下げて休みました」