「スマイルカンパニー契約解除の全真相」弁護士を通じて山下達郎・竹内まりや夫妻の“賛成事実”を確認
批判ではなく提言
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蒙を啓かれたのは今年3月。喜多川氏の性加害疑惑の実態を暴く英BBCのドキュメンタリーを観たぼくは、したたかに打ちのめされた。これまで自分は一体どこに立って何を見てきたのだろう。いや、何を見逃してきたのだろう。はげしい悔恨の念に襲われた。だが、過ちては改むるに憚ることなかれ。まずは注視、そして気になるところがあれば声をあげればいい。変えていけばいい。そう自分に言い聞かせた。
ジャニーズ性加害問題に向きあうとき、自分につよく律しているのは、被害者の古傷をえぐり出すような物言いは絶対にしないこと。それよりは建設的な提言をしたい。なぜならぼくの主目的のひとつはタレントを守ることであり、特定の誰かを攻撃あるいは断罪することではないからだ。
SCで過ごした15年のなかで、Jが魅力的な才能の宝庫であることを痛感してたし、個人的に連絡をとるタレントもいる。彼らの活動をサポートしたいという強い気持ちがある。だからこそ、つとめて理性的で品格を失わない話し方を心がけてきた。
BBCの番組放映後、元J所属タレントの性被害告発が度重なり、それを受けて藤島ジュリー景子社長が動画と文書で公式見解を発表した。5月14日夜のことだ。たまたま翌15日の朝に福岡RKBラジオ『田畑竜介Grooooow Up』に生出演を予定していたぼくは、スタッフの求めに応じて番組内で見解を述べた。社長は記者会見を開きましょう、第三者委員会を設置しましょう等々。今もネットでその書き起こし記事を読むことができるが、突飛なことは何ひとつ言っていない。終盤のくだりを原文のまま引用する。
「今回の疑惑を放置することは、ジャニーズ事務所だけの問題じゃないと思っています。一番の弊害は、今回の報道やマスコミの有り様を見た子供たちが、もし性犯罪・性暴力の被害者になったとき『声を上げても無駄だ』という諦めの気持ちになるかもしれないことです。疑惑を放置することで、社会全体が諦めの気持ちを子供たちに植え付けかねないのではと怖れを感じています。メディア、広告業界、芸能界だけでなく、みんながこの問題を直視しない限り、性加害や性暴力は、この先もなくならないでしょう。音楽業界に身を置く私も正直つらいです。ましてや、こういう世界に憧れたことがある、あるいは憧れている家族がいる、といった人たちも胸を痛めているはずです。私たち一人一人が、この国が抱える問題として当事者意識を持ち、みんなで膿を出すというところに、舵を切るべきじゃないでしょうか」
読めば瞭然、これは批判ではなく提言だった。