児玉愛子
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児玉愛子韓国コラムニスト

韓流エンタメ誌、ガイドブックなどの企画、取材、執筆を行う韓国ウオッチャー。新聞や雑誌、Webサイトで韓国映画を紹介するほか、日韓関係についてのコラムを寄稿。Webマガジン「オトナの毎日」でイラストエッセー【毎日がエンタメ】を連載中。

愛され続けたイ・ソンギュンさんの光と影(3)はじめから逮捕ありきの、警察による“司法殺人”ではないか

公開日: 更新日:

 警察が執拗にイ・ソンギュンさんを追い詰めた理由には、尹錫悦大統領が2022年に宣言した「麻薬との戦争」が背景にある。これにより警察は大規模な麻薬取り締まりに着手し、イ・ソンギュンさんも捜査対象のひとりとなった。そして芸能人であるがゆえ見せしめとなり、犠牲になったという見方が強い。はじめから逮捕ありきだったと、今では多くの韓国人が感じている。

■“金建希リスク”隠しに利用された?

 また、左派支持層の韓国人女性は、当初から「現政権の不祥事から国民の目をそらすためではないか」と不信感を募らせていた。これまでも韓国では、政権に不都合なことが起こると、派手な芸能ニュースでもみ消されることがあった。

 現政権といえば、たびたび金建希大統領夫人がアキレス腱となり、“金建希リスク”と呼ばれている。それを隠すためにイ・ソンギュンさんが利用されたというのだ。

 真相究明はこれから先も続くだろうが、イ・ソンギュンさんの死は単なる“容疑者の自殺”にとどまらない。過去に大統領の座を追われた朴槿恵元大統領が最初に国民の怒りを買ったのはセウォル号の沈没事故だった。ここでの対応を誤り、多くの命が犠牲になったことで、急速に支持を失った。

 歴史は繰り返される。ともすれば、尹大統領も同じ轍を踏む危険性をはらんでいるのだ。

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