唐沢寿明主演「プライベートバンカー」は、バブル崩壊期の若者たちの30年後を見るようで…
面白い題材を持ってきたものだ。木曜ドラマ「プライベートバンカー」(テレビ朝日系)である。
プライベートバンカーとは、富裕層のための資産管理・運用を専門とする金融のプロフェッショナルだ。主人公の庵野甲一(唐沢寿明)が際立っているのは、顧客の資産を守るためならどんな雑務もいとわず、あらゆる手段を駆使することだ。
現在の雇い主は外食業界のドン、天宮寺丈洋(橋爪功)。その依頼で、投資詐欺に遭った老舗だんご屋の主人・飯田久美子(鈴木保奈美)を救ったり、天宮寺家の長男で常務取締役の努(安井順平)が抱える愛人問題を解決したりしてきた。
このドラマの特色は、物語を通じて「資産」や「投資」や「相続」に関する制度や仕組みが明かされ、そこから生まれるサスペンスや悲喜劇を堪能できることだ。
また唐沢が演じる庵野のキャラクターが見る側を飽きさせない。銀髪に黒ぶちメガネ。雨傘を手にした英国紳士風のたたずまい。金融の知識や経験から繰り出す奇手・奇策。時々、カメラ(視聴者)に向かって独白するが、その本心は見通せない。
そんな庵野を「マネーの師」と決め、弟子入りしたのが、だんご屋の久美子だ。唐沢と鈴木が並ぶと、往年の青春ドラマ「愛という名のもとに」(フジテレビ系)が思い浮かぶ。バブル崩壊期の若者たちの30年後を見るようで、何やら感慨深い。