佐藤慶「一夫多妻宣言」と愛人騒動
<1969年5月>
5月10日午前10時30分、東京・南青山のアパートから女性が飛び出してきて、テラスで倒れた。向かいの家で掃除をしていた人が気づき、119番した。救急車が駆けつけたが、本人が「もう大丈夫」と言ったので、いったんは引き揚げた。
その晩の7時30分、友人と名乗る人物から「やはり容体がおかしい」と通報があり、再び救急車が出動。渋谷病院に搬送され入院した。病名は一酸化炭素中毒。この女性は部屋でガス栓を開き、自殺を図っていたのだ。幸い症状は軽く、2日後に退院した。
女性は大阪の高級バーの元ママ、Iさん(当時28)。前月に妻子ある俳優の佐藤慶(同40)の子どもを妊娠していると報じられ、芸能マスコミを騒がせていた。
佐藤がIさんと出会ったのは3年前。NHKのドラマの仕事で大阪を訪れた際、たまたま北新町のバーに入ったのがきっかけだった。何度か店に顔を出しているうち、男女の関係になった。最初の出会いから2年数カ月が経過した頃、妊娠がわかり、Iさんは店を閉め上京した。